殺気

悪魔がやってくる。

カッターなんてもんじゃ死ねないよって言ってくる。
包丁で首を一突きしたらいいんじゃないかってささやく。

私は反論する。

また兄の子供を見ていない。
まだ生きていたい。
夫が苦しむのを見たくない。
家族が悲しむのを見たくない。
まだ友人と話していたい。

悪魔はニタリとする。

お前はいつも口実を作る。
生きていたいのに死にたいと言うのは何故だ？
現実に執着している。
結局は虚言だろ。

私は返す言葉がない。
でも、私の中のマグマが少しづつ大きくなる。
開き直ったり、平然としたり。
大声で叫びたい衝動が止まらない。
全身傷だらけにしたい。
でも、生きたいんだなって思う。
口実でもいい、生きていたい。

でも、何かのきっかけで私は悪魔の言うとおりになってしまうかも。
こんなに苦しんで、理解してくれる人が周りにいない。
聞いてよ、って言葉で言ってもこの苦しみは伝わらない。

そんな事を思うのは久しぶり。
今日は、早く眠れそうにない。